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『わたたべウォッチパーティ in 伊予市』オフィシャルレポート公開!

2026年5月、徳島県徳島市で行われたマチ★アソビ vol.30にて開催された『私を喰べたい、ひとでなし』トークステージ。その中で生まれたものが、毎週木曜日、当時のアニメ放送と同じ時間に同時視聴を行うという「わたたべウォッチパーティ」でした。5月半ばから毎週1話ずつ再生していくこの試みは、7月23日時点で第10話までが実施。その結果、残る第11~13話――2025年末に実施された最終回記念上映会の内容と、作中でも舞台となった伊予彩まつりが開催されるタイミングが被ることに!

そんな偶然から生まれた「スタッフトーク付き わたたべウォッチパーティ in 伊予市」が、2026年7月25日に愛媛県伊予市のIYO夢みらい館文化ホールで開催。第11~13話の上映とともに行われたスタッフトークと、劇伴アーティストのYuqiさんのスペシャルライブの模様を、現地からレポート形式でお届けします!

 

上映前、会場がざわめく中、なんと武智邦典伊予市長がサプライズで登壇。思わぬゲストの登場に、客席からは大きなどよめきが起こりました。武智市長は、伊予彩まつりの魅力を紹介するとともに、暑い季節ではあるものの、『わたたべ』の舞台となった伊予市をぜひ巡ってほしいと、ファンへ向けてアピール。作品をきっかけに多くのファンが伊予を訪れていることへの感謝も語りました。

その後、第11~13話、そしてスペシャルエンディングを続けて上映。苗川采先生によるエンドカードがスクリーンに映し出されると、会場からは大きな拍手が送られました。

 

上映終了後、いよいよスタッフトークがスタート。

わたたべハイスクールの劇伴が流れる中、ステージには葛谷直行さん(総監督)、広田光毅さん(シリーズ構成・脚本)、郁山想さん(キャラクターデザイン)、高木秀仁さん(アニメーションプロデューサー)、井内啓二さん(作曲家)、Yuqiさん(劇伴アーティスト)、渡部直さん(音楽プロデューサー)、亀丸卓充さん(原作担当編集)、浜辺恵那さん(プロデューサー)が登壇しました。

『わたたべ』関連イベント史上最多となる9名の登壇。しかも、このメンバーが一堂に会するのは、2026年3月に行われた打ち上げ以来! まるで同窓会のような雰囲気の中、浜辺さんと渡部さん、亀丸さんがMCとなり、まずは作品にまつわるトークが始まりました。

 

まず浜辺さんからスタッフ陣へ投げかけられたトークテーマは、「『私を喰べたい、ひとでなし』に触れた際の第一印象は?」というもの。

これに対して、葛谷総監督は「深い青色」と表現。「最後の方には、その深い青色が光に照らされた希望の色に変わっていけばいいのかな、と考えながら制作を始めました」と答えました。

続いて、高木さんは「死生観」としつつ、「死をどう描いていくのかが軸になると思っていました。ただ、わたたべハイスクールや美胡のダンスエンディングが入ってきたので、バランスはどうなるのかなとも思いました」と笑み混じりに回答。すると亀丸さんが、「あのエンディングは原作者がやりたいと言ったんだから仕方がない!」とコメント。会場から笑いが起こりました。

また、郁山さんは「美しい」と表現。「ふわっとした風や光、磯の香りまで、すべてを感じられる作品だと思いました。作画担当ではありますが、チームで動かないと再現できないと直感した瞬間でもありました」と想いを語りました。亀丸さんが、そんな郁山さんのキャラクターデザインについて「原作の要素を拾いつつ、アニメとしてうまくリファインしてくださった」と絶賛する一幕も。

一方、井内さんは「わたたべは文芸」と表現。原作マンガと第1話のシナリオを読んだ際、冒頭の比名子の言葉が「いきたくない」とひらがなで書かれていることに注目したといい……。「学校に行きたくないようにも見えますが、生きたくない、死にたくないという意味にも重なる。1コマで雰囲気が一変するんです」。この点が他作品とは異なっていて、打ち合わせの段階から深く考えさせられたと振り返りました。

そんな井内さんからの誘いをきっかけに本作へ参加したYuqiさんは、「聞こえない」と回答。「原作マンガを読んでも、どんな曲が流れるのか何も想像できなかったのですが、井内さんから音源をいただいて、『こういうことか!』と思いました」

最後に、広田さんは「眩しいのぉ」と作品を表現。「夏の日差しや温度、深海の中にいても差し込んでくる光。生きたい、生きたくないという叫び。すべてが眩しかった」としつつ、ファンタジーでありながら、自分の人生の中にもあったかもしれない1ページのように感じたからこそ、シリーズ構成の依頼を受けた際には「自分でいいんでしょうか」と尋ねたと秘話を明かしました。

 

続いて、「思い入れのあるエピソードやシーンは?」という話題へ。

亀丸さんは「全部といえば全部」としつつ、第1話の比名子と汐莉の出会いを挙げて……。原作の色味が再現されていたことに、映像化の手応えを感じたそう。また、浜辺さんは、前半では美胡のシーン、後半では比名子が追い詰められていく場面を挙げました。「比名子が辛くなれば辛くなるほど目が離せなくなっていく」と愛を熱弁しました。

そして、Yuqiさんが選んだのは、比名子・汐莉・美胡が3人で話しているシーン。特に最後の旅行をめぐるやり取りや、比名子がさりげなく二人に声をかけるところに心を掴まれたといいます。

井内さんは第1話のアバン(冒頭、OPまでの導入パート)と、最後の汐莉が転入してくるシーンを挙げました。本作の特徴の1つとして、大半の劇伴が映像の展開に合わせて劇伴を描くフィルムスコアリングで作られていることが挙げられます。特に第1話では、キャストの演技を聞きながら劇伴を書くこともできたそうで……。「本作に対する音楽演出が見えない中、暗中模索で音楽を書く日々が続いたが、ダビング現場でアバンを見た瞬間に、これは間違いじゃなかったと感じました」と手応えについて熱く語りました。さらに井内さんは、効果音を担当した斎藤(みち代)さんによる波や水、風の音が、人物以上に心情を表現していたと絶賛。第1話のラストでは、セリフや雑踏の効果音を一度小さくすることで、引きの瞬間を際立たせたことにも触れました。

続く葛谷総監督が挙げたシーンも、第1話のアバンとラスト。「最初にコンテを描いていたからこそ、初めて画が動き出した実感がありました」と感動を表しつつ、ダビングの際には思わず「これすごいね」と声が出たという秘話も吐露。

また、広田さんが挙げたのは第13話。なんでも、第13話の途中とラストに登場するモノローグはアニメオリジナルの描写で、ここは苗川先生が考えた言葉だったそう。というのも、第12話を受けた第13話の展開を考えた際、「第12話のモノローグと対になるものがなければ完結できない」と考えたといいます。しかし、自分が書くとどこか嘘になると感じたため、苗川先生に依頼することに。「第12話の脚本作業が終わったとき、リモート会議中での一瞬の空白の間が生まれた瞬間にお願いしたら、苗川さんが『私でいいなら』と言ってくれたんです。『先生でなければならないのです』と、リモートでしたが、ガッツポーズをしました(笑)」。そして、中2日で上がってきたモノローグは2種類。対になるものと、比名子自身の中で消化するものがあり、その両方を第13話に組み込んだと語りました。加えて、コンテが出来上がってから尺が3分半足りなくなった際には、苗川先生から「このコマを使うのはどうでしょうか?」と提案が。その結果、坊ちゃん電車や道後温泉のシーンが生まれたとのこと!

高木さんは第9話の比名子の「ひとでなし」というセリフを紹介。「上田さんの声に負けない画にしようと、郁山さんと相談しました」。

また、郁山さんの手元のスケッチブックには、なんと比名子のイラストでの回答が!作品のテーマにもつながる第1話と最終話の同じ構図について語りました。第1話の「いきたくない」と、最終話の「いってきます」――「生きるという作品のテーマに沿わせるのであれば、心が変化して、同じ朝が来たとしても別の反応をするはずだと考えました」として、そのため、万感の思いを込めて、全く同じ構図で描いたといいます。「上田さんの収録も見学しましたが、何度も撮り直していました。だからこそ、声と一緒に顔にも注目してほしいです!」

 

続いては、脚本会議にまつわる印象的なエピソードへ。葛谷総監督と広田さんがそろって挙げたのは、第13話の制作決定についてでした。

というのも、当初は全12話で制作されるのか、全13話になるのか定まっていなかった本作。広田さんは第12話を最終回のつもりで初稿に取りかかろうとしたところ、浜辺さんから「全13話になりました」と告げられたという。「総監督とシリーズ構成だけが知らなかったんですよ。もうちょっと早めに!(笑)」と笑み混じりに広田さんが告げると、浜辺さんは「なんとか全13話でやりたかったんです」と弁明しつつ、「あのタイミングになったのは大変申し訳ない」と謝罪。会場からは笑いが起こりました。

また、脚本会議では、鈴木監督のシーンを合理的に考える一面と、葛谷総監督の俯瞰した視点とでバランスを取っていたそうです。

 

高木さんと郁山さんには、長期間にわたる制作での印象的なエピソードについて質問。すると、高木さんは、郁山さんがクオリティに妥協しなかった人物であることを挙げ……。「スケジュールもコントロールしなければならないので、厳しいことを言わなければならないときもあったのですが(笑)。でも、郁山さんの熱量に影響されて、ほかのスタッフたちもどんどん粘るようになっていきました」とスタジオリングス社内の雰囲気についても言及。

一方、郁山さんが特に楽しんだというのが妖怪デザインです。苗川先生のデザインを尊重しつつ、アニメーションとして動かすために線を削ぎ落とす必要があり、どこまで残すか苦心したそう。特に、汐莉の妖怪姿では、鱗やフジツボ、サンゴなどの量と形のバランス、立体感にこだわり、はりがねと粘土を使って模型まで制作したのだとか。

しかし、こだわればこだわるほど、制作スケジュールへの負担は増えていくわけで……。「やればやるほど高木さんが怒るんです(笑)」と語る郁山さんは、実際に高木さんに「ここまでディテールを増やしてもいいけど、誰が描くの?」と問われ、「私が描きます」と答えたら頭を抱えられた……と当時のやりとりを紹介。その高木さんからの「大変でした」の一言には、会場から笑いが起こりました。

 

井内さんとYuqiさんに、音楽制作での印象的なエピソードを質問すると。井内さんからYuqiさんへの依頼のきっかけとして、「片思いが2、3年続いていた」ことが告白され……。渡部さんから本作を依頼される少し前に、Yuqiさんと対面する機会があり、そのまま仕事を持ち込んだのだとか。井内さんが「普段、他の方が作った曲を歌わないYuqiさんに自分の曲を歌ってもらえないか、という下心もありました」と笑みを浮かべながら語りつつ、「演出上、歌に頼ることはあまり好きではないけれど、Yuqiさんの歌声はセリフを邪魔しない音色だったので、『わたたべ』に合うと感じたんです」と依頼した経緯を明かしました。

一方、Yuqiさんは「人様の作った曲を歌うのはおこがましいと思っていました」としながら、「びっくりするぐらい良い曲だったので、素直に心地よく歌うことができました」と振り返り。

 

スタッフトークではさらに、井内さんが音楽を担当した『わたたべ』13巻特装版付属のドラマCDについても紹介。井内さんは、ダビングの1週間前に「書ける?」と音響監督の納谷僚介さんから依頼され、すぐに3曲を書き上げたと語り……。「本編では日常曲やゆるい曲がほとんどなかったので、声優さんのお芝居を聞いて、わちゃわちゃ用のコメディ曲を作りました」とコメント。すかさず、広田さんも「1時間分のシナリオを書きました」と語ると、会場からは驚きの声が。亀丸さんも、「買って後悔はないはずです」とドラマCDをアピールしました。

 

画像

『私を喰べたい、ひとでなし』13 有償特典ドラマCD付き

https://store.kadokawa.co.jp/shop/g/g302607001007/

予約期間:〜2026年9月4日(金)23:59まで

予約サイト:カドスト、他各専門店

発売日:2026年10月27日(火)発売予定

 

トークの後には、Yuqiさんによるスペシャルライブも開催。

アコースティックギターを手に、Yuqiさんはまず「愛し子」を披露。続いて、美胡の正体が明らかになった後の比名子の心情を描くために制作された「灯る」を歌い上げました。

さらに、Yuqiさん個人の楽曲も披露。季節を感じられる楽曲として、Yuqiを中心に活動するプロジェクトである、UQiYOの「春夏秋(冬」を歌唱した際には、歌詞の「調布」を「愛媛」に変更するという、この日のための特別な演出も。

続けて、「冴えない」という意味を持つ「ソンバー」も披露しました。

選曲についてYuqiさんは「『わたたべ』を読んだ後の感覚にも通じると思って、この曲を選びました」と触れ、ライブが終わると、会場からは大きな拍手が。

井内さんは「こういう声を持って生まれると、ずるいですよね」と、改めてYuqiさんの歌声を絶賛しました。

 

イベントの最後には、登壇者全員からファンへメッセージが。

渡部さんは、テレビ放送終了後もこうした企画を実施できるのはファンのおかげだと感謝。Yuqiさんは初めて訪れた愛媛について、「飛行機の窓から見た海の色がアニメと一緒で驚きました」と語りました。井内さんは、愛媛県の対岸にある広島県廿日市市出身でありながら、愛媛を訪れるのは初めてだったと告白。「昨日タクシーで移動しているとき、蝉の鳴き声が関東と違うと感じました。もう少し現地の空気を吸って、聖地巡礼もしていきたいです」と挨拶しました。

郁山さんは、「この場所で皆さんとお会いできて、苗川先生や皆さんに感謝の気持ちでいっぱいです」とコメント。高木さんは、「放送が終わってからも集まってくださるなんて、いい作品ができたなと思いました」と感慨深げに語り、今後のドラマCDなどにも期待を寄せました。

広田さんは、アニメ放送終了後もこれだけのファンが集まったことへの感謝を述べたうえで、「原作はまだまだ続いているので、応援があればひょっとしたら先の物語を描けるかもしれません」と、今後への期待を感じさせる言葉を贈りました。葛谷総監督は、「普段は室内にこもっていることが多いので、こうやってファンの皆さんの表情が見られて嬉しかったです」と笑顔を見せました。

亀丸さんは、全国各地からファンが伊予に集まったこと、そして300人以上を収容する会場が完売したことに感謝。浜辺さんも「このスタッフで登壇できて、とても嬉しかったです!」と喜びを露わにしました。

 

放送終了から時間が経っても、作品を愛するファンが集まり、スタッフとともに物語を振り返った今回の「わたたべウォッチパーティ」。伊予の地で実現した特別な一日は、『私を喰べたい、ひとでなし』が作品の放送期間を越えて、今なお多くの人の心に残り続けていることを改めて感じさせるイベントとなったはずです!

Watashi wo tabetai, Hidtodenashi

Watashi wo tabetai, Hidtodenashi

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